トカゲなる日々

劇団万国トカゲ博覧会の生態

人工知能による芸術

ある意味前回の続き。人工知能が書いた小説が星新一賞の一次選考を通過した話とか。
ボードゲームの世界で人口知能が人間を圧倒しつつあるのに加えて、将来は芸術の世界においても、人工知能が台頭し席巻する様になるのか。

前回の続きで言えば、当面は答えは否でしょう。
芸術の定義を著作権法の対象となる範囲「思想又は感情を創作的に表現したもの」とすると、それを享受したいと思う人間が居るのは、商業的な意味で言えば「息抜きがしたい」「笑えるものが見たい」「感動したい」という欲求のためですが、より根本的には「人間と触れ合いたい」故だと考えます。人間は人間に興味があるから、人間の思想又は感情を表現したものに興味があるのです。だから芸術鑑賞は根っこのところでは、創作者と受け手との会話であり、普通のコミュニケーションと何ら変わりありません。日常会話よりも密度が高いだけで。

例えば人工知能が非常に優れた芸術作品を作ったところで、創作者が人工知能だと判明した時点で、芸術作品の価値は大いに損なわれるでしょう。受け手が「人間とのコミュニケーション」だと信じていたものがそうでなかったのですから。
もしも将来、人工知能が人間と対等の存在として認められ、人工知能との恋愛結婚も有り得る程の時代になれば、その時には人工知能による芸術も物珍しさではなく「人間に対する興味」と同類のものとして認められるのでは。

ちなみにアニメーションは、動いているのは人間ではありませんが、観客は明らかにアニメの向こうに作画なり脚本家なりの作り手の人間を見ていますから、これでも人間同士のコミュニケーションが成り立っていると言えます。
ならロボット演劇はどうなるかといいますと、アニメの延長線上となるか、同上となるか、どっちでしょうねえ。

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ボール球も打ち返して

先日、ピアニストの方とお話しする機会がございまして。
現代音楽というのは得てして難解なものですが、中にも演奏不可能な楽譜というものがあるのだそうです。例えば連弾用楽譜でもないのに、手が5本ないと弾けない様な和音があるとか。
それを弾きやすい様に書き変えることはもちろんタブーだし、打ち込み音楽ならそういった無茶なものも演奏可能なのですが、どうも作曲家側はそれでは満足しないんだそうです。あくまで人間が弾いて欲しいんだとか。

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再演とは甦りである

つかこうへい「熱海殺人事件」 1975年 新潮社
つかこうへい 「シナリオ熱海殺人事件」 1986年 角川書店
つかこうへい 「熱海殺人事件 売春捜査官」 1996年 メディアファクトリー
つかこうへい監修 「高校生のための実践演劇講座 演出論・演技論篇」 1997年 白水社

を読みました。「高校生の~」は実質、「熱海殺人事件(割と初期のバージョン)」のシナリオにつか氏がコメントを入れているだけの内容で、タイトルを信じて買った高校生に投げ捨てられること必至です。
あと「つかこうへい演劇館」にシナリオが公開されていまして、そちらの「熱海殺人事件 ザ・ロンゲストスプリング」も読みました。

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感情を表現する

< declaration:anger>
< 「わたしたちはどん底を知らない。
 どん底を知らずに生きていけるよう、
 すべてがお膳立てされている」>
< /declaration>

ミァハの口癖だった。
ミァハは何でも知っていた。例えば、

< list:item>
< i:ごく普通の個人用医療薬精製システム[メディケア]をいじって、システムが合成する医療分子から五万人の都市住人を殺すことのできる化学兵器を作る方法>
< i:同じくメディケアをだまして、気持ちよくなることのできるエンドルフィンを少量合成する方法>
< /list>
伊藤計劃ハーモニー」 早川書房 2008年 pp.12-13


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影の立役者

市川三升

の記事を読んで、えらいなーすごいなーと思いました。というのが今日のオチ。

本来なら、芸能界であれば俳優とプロデューサーは違う人ですし、小劇場でも座長・看板俳優以外に制作は居ますし、それは歌舞伎の世界でもきっとそうだろう(全然知りませんけど)と思いますが。ど素人から役者を志した上に、最終的にこれだけ貢献したのは本当にすごいなあと。
そして歌舞伎自体の存続にも大いに寄与したことについて、こういう人が居なければ個々の文化はいつ滅びてもおかしくないし、古くから続く文化の陰には必ずこういう人が居るのだなあと、パチンコやら2chやらと引き比べて思うのでした。

演劇という文化が日本で続くかどうかについては、個人的には小劇場演劇は、『演じたい』という欲求を叶える趣味の一つとして、自主映画を撮るよりは楽しい(映画は監督とカメラマン以外はあんまり楽しくない)という理由で続くと思います。ただし趣味にしては時間とお金を食い過ぎるのであくまでマイナー分野です。
そして草野球チームがプロ野球の試合を見に行く様に、小劇場の連中が日本の商業演劇を見て憧れたり励みにするかというと、それはどうでしょうね。

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