トカゲなる日々

劇団万国トカゲ博覧会の生態

時の流れは残酷で

何となく筒井康隆氏のファンでして。ツツイストという程でもないですが。
学生時代はいわゆるスラップスティック短編集を読み漁り、長じて難解な実験作を読んでシビれておりましたが、ふと先日、久々に古いドタバタものを読みましたところ。
おもしろくない。
どういう訳だ。

文学的技巧に対しては全く文句ないのですが、「万年係長」とか「精神科に通うのは世間体が悪い」とかいう表現に、世代間格差をひしひしと感じる様になってしまったのです。昔「成瀬さん就職に困ってるんだって?」と相談に乗って下さった年配の方から、応募期間を過ぎてから履歴書を送ったのに電話一本で採用が決まっただの、毎週金曜日は15時で仕事を切り上げて皆で野球をしただの、古き良き時代の話を延々聞かされて殺意が湧いたのと同じ感じです。
星新一氏も時代の流れに合わせて「電話のダイヤルを回す」の様な古いテクノロジーに則った表現を書き改めるということをしていましたが、父が働いて母は専業主婦なのが当たり前という昭和文化まではさすがに書き直せなかった様です。
私の実家は「娘が25歳までに結婚しなかったら勘当する」と得意気に曰う年寄りが普通に居るド田舎だったので、子供の頃は気付かなかったんでしょう。で、都会に出てリーマンショックやら何やら世間の荒波に揉まれる様になって、今愕然としている訳です。

登場人物が固陋な考えの持ち主だからといって作者も同様とは限らないし、むしろ筒井氏はそういった人間の愚かさを鋭く抉る作風の持ち主です。
ただ、昔おもしろいと貪り読んだものが今そうでないのは、何というか、寂しいですね。あ、筒井氏ファンは辞めませんよもちろん。

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六斎念仏

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少し前の話ですが。清水寺千日詣りに際して行われる六斎念仏の奉納を見てきました。
私が見たのは中堂寺六斎会の、特に芸能六斎と呼ばれる代物でして。そもそも六斎念仏というのが何なのかWikipediaを読んでもよくわからず、そして念仏なのにどうして獅子舞(写真右)と土蜘蛛(写真左の糸引いてる人)がタイマンを張っているのか、恥ずかしながらどうにもわかりません。

これが数百年前には人口に膾炙した大衆芸能だったのか、と思うと不思議な感じです。その頃のDNAがまだ体に残っている様な気がしないでもないですが、それでも現代のテレビ番組なんかとはかけ離れています。
明治と戦後に西洋の文化がものすごい勢いで入ってきたために、もはや現代日本人は、日本の古い文化と西洋文化なら、後者の方に格段に素養があるんじゃないでしょうか。失われたものはなかなか大きい。
けれどこうやって観光客面して観に行くことで、何がしか思うこともある訳で。自国の文化をもっと知ろう。
でも暑かったなー。

WORKSHOP FESTIVAL DOORS 10th

他所様の宣伝でお茶を濁す試み。

WORKSHOP FESTIVAL DOORS 10th

というのがあるんだそうです。
私も劇団設立当時はin→dependent theatreさん主催の制作ワークショップとか行ったものです。特に「グルーガンて何?簡単工作できる接着の基本」にて、小道具制作を業とする

黒猫ハグルマラボラトリ

さんが参加するとかで、こういうスタッフワークってきちんと教わる機会がなかなか無いんですよね。全然関係ないですが私は小鼓が叩きたいです。
そんな感じでリツイート代りに。

走るのは苦手です

門井 (引用者註:御影公会堂についての評)この丸窓は、あと十センチ上でも下でもダメというくらい絶妙の位置にあると思います。この曲線性の余韻を嗅いだあとに、ふたたび直線に戻りまして、今度は階段状にダンダンダンと上から落としていって、終末に向かってデクレッシェンドしてくわけです。
万城目 すごい。
門井 デクレッシェンドしたものが最後にもとの高さに戻って、おしまい。起承転結がきれいにできていて、ストーリー性が高く、それでいて全体を見るとどこからどう見ても前衛的な建物である。
万城目 前衛です。でも前衛なのに落ち着きもあって、まわりの景色に溶け込んでますよね。ほどよくボロくて、汚れてるという言い方もできるかもしれませんが(笑)。
門井 さらにもうひとつアピールするとすれば、この地下の食堂です。
万城目 これはすばらしい。古き良き洋食グリルという雰囲気ですね。門井さんが注文したのはオムハヤシですか。
門井 はい。このデミグラスソースは十日間煮込んであるそうです。とろとろ熱々で、タマネギはシャキシャキ。オムライスも絶品ですね。万城目さんが召し上がったのは?
万城目 僕は海老フライにタンシチューの小鉢。
門井 この海老も旨そうですねえ、尾頭付きで。
万城目 こってりタルタルソースで、美味しいですよ。海老が二匹、タンシチューの中に大きいジャガイモが丸々一個、さらにその横にポテトサラダ(笑)、そして御飯、さらにパスタ。どんだけ炭水化物ばかり食わせんねん(笑)。
万城目 大阪の中央公会堂にも地下にやっぱり洋食屋さんがございまして。
門井 ありますね。あそこもオムライスが名物です。
万城目 このふたつの公会堂の共通性って、おもしろいんです。どちらも市民の寄付によって建てられている。大阪の公会堂や岩本栄之助という相場師の寄付。こちら御影公会堂は、嘉納治兵衛という酒造会社の社長さんが建設費の九割を負担している。
万城目学門井慶喜ぼくらの近代建築デラックス!」 文芸春秋 2015年(文庫版) pp.106-107


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