トカゲなる日々

劇団万国トカゲ博覧会の生態

「ラカン 患者との対話」終演しました

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ラカン 患者との対話 症例ジェラール、エディプスを超えて

の公演のお手伝いをしてきました。

とりあえず3週間前の心配は杞憂に終わりまして何よりでした。オンガージュ・サロンの雰囲気と実にマッチしており、2階へ上るはしご(前からグローブ座のバルコニーみたいだなあと思ってました)が有効活用されてました。
台詞が基本的に難解なのですが、ラカンや精神分析について門外漢のお客様にも好評であったのが、失礼ながら驚きです。役者陣の腕っぷしでしょうか。
またアフタートークについて、学問的な話から演劇的な話(演劇関係者でない人にとってはある意味専門的な話なのかも?)まで、お客様も交えながら全方位に話が広がっていったのが楽しかったです。
私も会場前の交差点でチラシを持って待機し、お客様を道案内するという大役をこなしました。ご来場頂いた皆様、関係者の皆様、ありがとうございました&お疲れ様でございました。

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どうして物語を読むのか

人格の修養のため
「人格の修養」
勇次はおうむ返しに口に出し、
「それはまた、ずいぶん大時代だな」
郁太は首をちぢめ、言い訳するみたいに、
「小説は元来、最新鋭のメディアじゃない」
「なるほど」
「それに時代遅れなのは言葉面だけさ。ためしに『よりよい人間になる』と言いかえてみろ。少しだけ今ふうになる」
「あるいは、人類永遠の関心事っぽくね」
勇次がうなずくと、相手は、
「だろ?」
と身をのりだしたが、口調はあくまでも冷静さを失わず、
「しかしな、勇次、よく考えてみたら、人間はたったひとりで人格高潔になれるものじゃない。もちろん自分自身の意識も大事だが、それ以上に、まわりの人が大事なんだ。仲よしになったり、けんかをしたり。同意を得たり、理不尽なあつかいを受けたり。そういう経験をさんざんして、いわば八方からやすりをかけられることで、人間という金属の棒はようやくかたちが整い、きらきら光るようになるんだな」
「賛成だ」
「問題は、この、まわりの人っていうやつだ。小説はそれをたくさん供給してくれる」(中略)
「新しい出会いなんて年に数回か、十数回か、ともあれ例外的な出来事だ。ところが小説を読むというのは、要するに未知の人物に次々と出会うということにほかならない。もちろん小説にもよるんだろうが、その数はけたちがいだよ」
「主役と脇役がいるだろう。単純には数えられない」
「それは現実の人間関係もおなじさ。浅いつきあいもあり、深いつながりもある」
「それにしても、単に数の問題なら・・・・・・」
「まあ聞けよ、勇次」
相手は軽く手をかざし、すっかり冷めたコーヒーの最後のひとくちを飲んでしまってから、
「これは単なる数の問題じゃ無い。質の問題でもあるんだ」
「質の問題?」
「この現実での出会いよりも、小説のなかでの出会いのほうが、質的に上、っていうことだ」
「身びいきだなあ」
門井慶喜小説あります」 光文社 2011年 pp.114-117


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演劇は祝祭か

明け方から始まって日が暮れるまで、歌舞伎の上演はまる一日つづけられていました。その間、何度も幕間があります。現代の歌舞伎興行もかなり長い幕間の時間を取る習慣がありますが、江戸歌舞伎の幕間は現代のそれとは比べものにならないほど長かったといわれています。それだけのんびりした、いい時代だったのでしょう。
桟敷の観客はすべて芝居茶屋を通して見物することになっていますから、幕間ともなればそれぞれ自分たちの茶屋へと引き上げて行きます。茶屋ではお茶を飲み、お菓子、水菓子(果物)を食べるのはむろんのこと、時間によっては食事をしたり、お酒を呑んだりして楽しみます。おしゃべるをする人、うたた寝をしてしまう人もいます。若い女性の中には、幕間の茶屋で何度も衣装を着替える人がいました。次の幕が開いて、ふたたび桟敷にもどる時、さっきとは違う衣装で、颯爽と現れようというわけです。つまりお色直しですね。何のことはない、彼女は役者といっしょに芝居の宇宙の人になりきっているのです。「役者に見せる気か」とからかわれても、それが彼女にとってはこの上なくうれしいことだったのです。茶屋でのゆっくりした遊興の時間も、桟敷客には日常を離れた芝居見物の日の楽しみのうちに入っていました。
服部幸雄・文 一ノ関圭・絵 「絵本 夢の江戸歌舞伎」 岩波書店 2001年 p.51

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ラカン 患者との対話

ラカン 患者との対話 症例ジェラール、エディプスを超えて

の朗読劇の稽古場にお邪魔してきました。

本をきちんと読んでなくて恐縮ですが、ラカンが精神病患者のカウンセリングを行った際の記録を元に、ラカンと患者を朗読劇形式で演じるという催しなんだそうです。
つまり戯曲でも何でもないので起承転結なんぞもちろんある筈もなく、それをこれからどうしてやろうかと、試行錯誤の真っ最中のご様子でした。
・・・・・・どうするんだろう。3週間後を楽しみにしておきます。

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