トカゲなる日々

劇団万国トカゲ博覧会の生態

数学者のジレンマ

ソースがどこか忘れてしまったのですが、数学者の仕事盛りは20代で、それを過ぎると脳が衰え、新しい定理を発見したりすることができなくなる、という説があるそうです。ところが人類が産まれて幾星霜、20世紀までに発見された数学の諸成果を学ぶだけでも20年や30年はあっという間に過ぎてしまい、それらをマスターして新しいものにチャレンジする頃にはもはや手遅れ、というジレンマがあるのだとか。
新刊小説書評で「こんなのは○○(昔の高名な作家)の焼き直しだ」といった文章をちらほら見るにつけ、小説家にも似て非なる(ってつまりそれ違うんじゃ?)ところがあるかもしれないと思うのでした。作家には大いに職人的要素があります。文学上の諸技術を目で読むだけでは身につきません。市場に出回る本はお金、特に単行本であれば割高で売られる物である以上読者の不満はもっともであり、確かに昔の作品の方がおもしろいんでしょうけれど、過去の文学の焼き直しを散々ノーギャラで書いて勉強した上で新しい作品を出版社に持ち込む様な人間は、この不景気にどれだけ存在するでしょうか。少なくとも小説以外の娯楽がこれだけ多様化してからは激減した筈。
過去の文学を模倣し咀嚼する過程が21世紀の今日では恐ろしく遠大になってしまったのと対照的に、出版界の速度はどんどん上がって行き、遅筆な作家は次々に忘れられてしまう時代となり、習作だろうが何だろうがとにかく矢継ぎ早に出版しないと追いつかない有様、そうこうする内に業界全体で新しい文学を生み出す気力なんぞ成層圏外に消え去ってしまうと。あーやだやだ。
そしてその中で読者はどの様な役割を果たすのでしょうか。ネットのおかげで読者の声が嫌でも散々目に付く様になった今日、焼き直しだと批判する以上に作家を叱咤激励し新しい文学を生み出す手助けをする方法はあるんでしょうか。

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