トカゲなる日々

劇団万国トカゲ博覧会の生態

物語の機能


本をよむことと精神分析というのは、とてもよく似ているんじゃないでしょうか。精神が不安定になったとき、精神分析医にかかって、横になって先生に自分自身のことを語っていく。精神分析医は、ある意味では作家なんですね。話を聞きながら、その人を主人公にしたひとつの物語を作り上げる。あなたがいま不幸なのは、あの出来事が第一の伏線であり、第二の伏線があそこにある・・・・・・、などと患者が体験したことを整理して物語にしてあげると、患者は癒やされていくんですね。
(中略)アメリカ人は、何か悩みがあると、すぐに精神分析医にかかりますね。アメリカというのは、それだけ複雑で、緊張して生きていかなければならない社会なんでしょう。そういうところでは、物語の力を借りて自分を知的に武装しないと、一日も生きていけないのかもしれない。だから、精神分析があれだけはやるのだと思います。
逆に、アメリカの人たちはそれだけ物語の力を信じているのかもしれません。そこにまた作家たちの執筆意欲が強く向かう。ですから、小説であれ、ノンフィクションであれ、アメリカ人が書いた作品は、みごとな物語があっておもしろいですね。

井上ひさし「本の運命」(1997)文芸春秋社 pp.150-151(文庫版)


もし客観的事実というものがあるなら、そこに物語はありません。因果関係もありません。それは人が作り出すものです。現実世界を整理し理解する上で便利だから、因果を仮定し物語を作るのです。
クールジャパンとか言われてますが、ああいったアニメやラノベ等のサブカルが現実世界の整理に役立っているかというと、若干疑問です。むしろわかりやすく整理し過ぎてしまった、整理されたものしか受け付けなくなってしまった末路にも見えます。自分で整理することを止めてしまった。アメリカ人は現実の複雑さ故にカウンセリングを受けているとしたら、日本人は現実の複雑さから逃げるために、既に整理済のフィクションでもって癒やされているのかもしれません。

何が言いたいかというと、この間観た劇団うんこなまずの「tango@bye-bye」は正直全く意味がわからなかったんですが、わかりやすくなんかしてやらねえぜ!そんなもん自力でやれ!という姿勢がクールだったと思います。こういうお芝居がもっと増えるといいなと。

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