トカゲなる日々

劇団万国トカゲ博覧会の生態

読書もコミュニケーション

芸術活動には、芸術創作と芸術受用の二つがある。文芸に就てこれをみれば、作者の心理活動と、読者の心理活動がそれである。芸術創作の活動は、表現に達することで完了し、芸術受用活動は、その表現に接することによって開始される。いわば表現は二つのものの連結点であり、二つのものの流れあう、一本の橋である。創作家は表現することによって、はじめて自己の芸術活動を自己以外の人に認めさせることが出来、鑑賞家はその表現に接し得て、初めて芸術活動を起すことが出来る。
川端康成 「新文章読本」 昭和29年 新潮社(文庫版) p10


よく考えれば当たり前のことですけれど、良い文章だと思いました。著者が日常や人生の中で考えたことが、執筆活動の中で凝縮されて行き、作品となる。それを読んだ人が作品に対して色々なことを思い、誰かにその話をし、そしてすっかり忘れてしまった様に見えてどこか考え方などに影響を受けていたりする。
なので単位時間(文字数?)あたりの作品情報の密度は、作者がアイデアを得る~執筆する~作品が出来上がる~読者が読む~読者が色々感じる~読者の意識に作品のことが上らなくなる、の間でちょうど山形グラフになります。各行程に費やされる時間が凹形グラフになるとも言えます。

世に言う優れた作品とやらの指標は、このグラフがどれだけ豊かな裾野を持っているか、ということかもしれないと思いました。作者・読者のどちらか片方でも、グラフの端が断崖絶壁になっているものは傑作とは呼ばないでしょう。そうすると結局はお見合いと同じで、相性の問題かもしれません。

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