トカゲなる日々

劇団万国トカゲ博覧会の生態

だって空気読めないし

ピエール・バイヤール「読んでいない本について堂々と語る方法」 2008年 筑摩書房

を読みました。
英語圏の文化人類学者がアフリカの一部族の元でフィールドワークを行った際に、英語文学の傑作であるところの「ハムレット」の物語を説明したところ、「先王とクローディアスの母親は同じなのか?わからない?そういったことは血筋が大事だぞ」「ホレイショーは何故最初に長老に相談しなかったのか。順序をわきまえない奴だ」「王妃が再婚するまでに2ヶ月もかかったのか?長過ぎだろう」「先王の亡霊とは何だ。死んだ人間が口を聞く筈が無い」と、惨憺たる有り様だったとか。
レビレート婚が普通の地域では「ハムレット」は受け入れられ辛いという話は聞いたことがありますが、なかなか愉快なエピソードです。が、私としては時として他人事ではない気がします。

例えば行方不明の親を探すために財産を費やして旅をしている、とかいう設定の登場人物を見ると、親不孝者の私としては、そんな暇があったら普通に暮らせば?と思う訳です。がそれを言っちゃ始まらない。そこは不問に処さねば続きません。
思い返せば学校教育の中でもそうしたことはあって、読書感想文は著者の言わんとすることに「感動した」と書く催しであり、本を批評批判するのが目的ではありません。修学旅行で京都に行ったらば、旅行後の感想文では日本文化の奥深さを褒め称えねばなりません。担任が古典の先生なら尚更。ちなみに私は京都の第二次産業について書いた記憶があります。
ハムレットは「死んだ人間は亡霊になることがある」「結婚したら再婚してはいけない」という文化の元で書かれており、とりあえずはそれを受け入れて読まねばなりません。相手が求める文脈を理解するというのは人生に必要な能力で、だから学校で教えているのです(?)。
ただ、せめて個人で行う読書や観劇においては、受け入れない自由があるということを忘れたくはないし、また自分で書くものについて、自分の求める文脈を相手に強制したくはないと思います。

ちなみにこの本、図書館の返却期限が迫っていたため、電車の中で斜め読みしました。今まさに読んでない本について語っている訳です。あはは。

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