トカゲなる日々

劇団万国トカゲ博覧会の生態

インプット&アウトプット

「あなたの兵隊さんたちは、わたしどもの女たちを辱しめております」パイパ・ルヌイ村長は帽子をぎゅっと握って声を落とす。「わずか二、三か月前のことですが、義理の妹が乱暴され、先週には、わたしの妻が、わたしの妻がですよ、もう少しで乱暴されそうになりました」
「わたしの兵隊ではない。我が国の兵隊ですよ」ビクトリア将軍は慰め顔をする。「落ち着いて、落ち着いて、村長さん。軍はあなたの義妹さんの事故を遺憾極まりないことと考えており、償いのためにできるだけのことをするでしょう」
「このごろでは、強姦のことを事故だと言うんですか」ベルトラン神父は困惑している。「強姦は強姦なのに」
「畑から帰ってきたフロルシータを二人の軍服の男がつかまえ、道の真ん中で彼女に跨ったんです」テオフィロ・モシイ村長は、苛立ち、その場でぴょんぴょんと跳ねる。「照準は極めて確かなもので、今、彼女は妊娠しているほどです、将軍殿」
「あなたはわたしをそのならず者と同一視しようとなさっておられる、ドロテーアお嬢さん」とペテール・カサワンキ大佐はぶつくさ言っている。「泣かないで、泣かないで、じきにうんとうまく解決してあげるから」
「わたしが出て行くとお思いになっていらっしゃるんですか」ドロテーアはすすり泣いている。「わたしが、一人だけで、全部の兵隊の前に?」(中略)
「さあ、この連中のうちの誰と結婚したいのか、わたしに教えて下さい、ドローレスお嬢さん」アウグスト・バルデス大佐は三人の新兵の前を行ったり来たりしている。「そうすれば、従軍僧に即座に結婚させてもらえますぞ。さあ選んだ、選んだ。生まれてくる赤ちゃんにとって誰がいいかな」
「あっしの女房は場所もあろうに教会でつかまえられました」大工のアドリアーノ・ラルケは椅子の端で体をこわばらせている。「大聖堂ではなくてパガサンのサント・クリストの礼拝所でのことでございますよ、旦那」
「そのとおりなのです、ラジオをお聴きの皆さま」とシンチがわめいている。「神にたいする恐れも、神の聖なる館にたいする敬意も、すでに二世代のロシート人の生みの親となっていたやんごとなき貴婦人の高貴な白髪もこのような淫で神を恐れない人間たちを押さえることはできませんでした」
マリオ・バルガス=リョサ 「パンタレオン大尉と女たち」 新潮社 1986年 pp.11-13

非常に映画のモンタージュ的です。しかしこれを本当に映画でやるのはなかなか無理があるので(肩書きは服装でわからせるなら・・・・・・でも台詞が結構長いですよ)、結局は小説的ということでしょうか。
この引用箇所は冒頭付近ですが、中盤には報告書や新聞記事の引き写し、ラジオインタビューを文字起こしした様な箇所もあり、表現手法的にはバラエティに富んだ楽しい小説です。バルガス=リョサは他の小説も、代表作「緑の家」を始め複数の筋が絡み合ったり、様々な手法が駆使されています。

で、「そういや『馬耳豆腐』のルーツはここか」と拙作を懐かしく思い返したのでした。時間と登場人物がぽんぽん変わったり、それに伴ってテイストも変わったり。読んだものって、どこからか出てくるもんですね。
あ、でもテイストはそこまででもなかった気がします。もっとやるなら、1場はシェイクスピア調、2場はコンテンポラリーダンス、3場は吉本喜劇調とかですか?演じる役者も大変でしょうけれど、書くのがものすごくしんどそうな。。

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