トカゲなる日々

劇団万国トカゲ博覧会の生態

「馬耳豆腐」の脚本の話

早や2週間も前の話になってしまいましたか。もう少し引っ張ってみます。
標題の件につきまして、前半部分はレーモン・クノーの「文体練習」の影響を大きに受けております。パクリだと訴えられたらどうしようかと思っていましたが、幸か不幸か杞憂に終わりました。後半は特定の何かを意識したつもりは無かったものの、後から考えるとバルガス・リョサの「フリアとシナリオライター」辺りがくさいです。
何故「文体練習」を参考にしたかというと、毛風のお二人から「ランタイムは60分程度で」と指定を受け、私は30分程度の作品しか書いたことがなかったからです。残り30分をどうやって手っ取り早く水増し(ええもう、公演が終わった今ですから、はっきり書きますとも!)するかが今回の一つのポイントでありました。そして「文体練習」の最大の利点は、一つのプロットを、文体を変えることで無限に増殖できるということです。

 プロットを1~n、文体(もしくはテイスト、シチュエーションなど)をA~Zで示すと

 1|1|1|1|1|1
 ーーーーーーーーーーー
 A|B|C|D|E|…

というのが「文体練習」ですが、ここでプロットを1・2・3の3つの場面に分割し、なおかつ3から1へループできるものとすると

 1|2|3|1|2|3|1|2|3 
 ーーーーーーーーーーーーーーーーー
 A|A|A|B|B|B|C|C|C (A、B、Cは順不同)


 1|2|3|1|2|3|1|2|3
 ーーーーーーーーーーーーーーーーー 
 A|B|C|B|C|A|C|A|B (A、B、Cは順不同)


 1|2|3|2|1|3|3|2|1
 ーーーーーーーーーーーーーーーーー
 A|B|C|A|B|C|A|B|C (1、2、3、A、B、Cは順不同)

といった配列ができます。シチュエーションだけをもう1パターン増やせば

 1|2|3|1|2|3|1|2|3|1|2|3
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 A|B|C|D|A|B|C|D|A|B|C|D

という風になる訳です。この辺、クノーというよりもウリポの影響ですね。
1~n、A~Zを増やして行けば当然全体の長さも増える訳で、1~nのプロットを徐々に増やして行けば123234345456という螺旋的な配列もできると思ったのですが、何にしてもそれでもって『上演時間を手っ取り早く水増しする』なんてのは全くの夢物語だと気が付くまでに、そう時間はかかりませんでした。
それから色々と書き直した挙句にあの様な脚本が出来上がりまして、「馬耳豆腐」に関してはあれが完成形だと思っています。がしかしこのテーマについては、一生かけて考えても足りない様な気がします。更に言うとこのシステム、うまくいけば「複数人で脚本を書く」プロジェクトに転用できないかと目論んでおります。短いループを何度も繰り返す物語であれば、そのループの一周づつを異なる人間が書くことも不可能ではない筈です。

今更こんなことをだらだらと書き連ねているのは、あの脚本の裏にはこういった小ネタがたくさんあって、何も私がおっぱいへの欲望を思いのままに書き殴っただけの代物ではないんだということをアピールしたいが為なのですが、言い訳は所詮言い訳、お見苦しい限りでございます。ついでにもう一つ言い訳しておくと、シチュエーションが様々に変わってもプロットは一つである以上、その間の連続性は(多少は)大事です。南極でも砂漠でも江戸時代でも近未来でも同じノリで話せる話題として、おっぱいは実に適当な題材であったと思います。
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