トカゲなる日々

劇団万国トカゲ博覧会の生態

指揮者に求められるもの

「音楽の捉え方に信念のある人、それでいてオーケストラから出されてくるものには耳を傾けて、それを自分の目標に合わせていく人、こういう人にはオーケストラのミュージシャンは熱をあげるし、意欲も高められると思う。それでも結果はその人のねらいから多少ずれるかもしれない。そうすると彼はプレーヤーの気分をほぐす。
(中略)
音楽家は、自分の能力や頭脳をためすようなことを要求されたいと心から思っているものである。オーケストラ奏者とて、やはり、違う音色、違うリズム、違う響きを出してみたくてたまらないのだ。それでこそ自分が運転席にいるような気持ちになる。作曲者独自の声を再生しているような感じを持てる。
しかし、それは、指揮者が作曲家の声をどう伝えるかにかかっている。どのオーケストラでもプレーヤーはくたびれ果てているから、間違ったときに間違ったものでひっぱたいたら、たちまち殻をとざしてしまう。そうなったらもう手は届かない。かしこい、利口な指揮者ならうまくプレーヤーをけしかけられる」
「いまの指揮者はますます大きな響きを求めている。本当のピアニッシモを出す人、強弱の段階の弱い方の端を使う人はめったにいない。指揮者のみなさんは、音の大きいパートがお好きで、オーケストラのソロ・プレーヤーにもっと大きくとはいっても、ほかの人にもっと弱くと注目することなどありはしない。」
「指揮者とオーケストラは人間対人間ですから、好き嫌いとか相性とかありますね。いいときはいいんでしょうが、お互いに歩み寄りが難しいときの苦労は並々ならぬものです。」

齋藤純一郎 (1996) これが指揮者だ―こっそり教えるその秘密 音楽之友社 p48-49


一度でも演出をやったことがある方は、他人事とは思えないのでは。
演出家も指揮者も強い権力を持つポジションですが、似た様な苦労があるんだなあと思ったので引用してみました。どんな分野でも人付き合いができなければ世の中ままならんものです。……自分で書いてて凹むなあ。
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