トカゲなる日々

劇団万国トカゲ博覧会の生態

小説も芝居も絵空事

SF作家としては初めて芥川賞を獲ったと言われる円城塔氏のインタビュー記事を読みました。恐ろしく乱暴に言うと「SFは純文学より下等だと思われてる」という様なニュアンスのことを語っているのですが、あれ、ずっと昔に筒井康隆氏も似た様なこと言ってなかったっけ?未だにSF時代は到来せず?と思って調べてみました。ヒマ人のやることですね。

芥川賞受賞者一覧

過去30回ばかりの受賞作を対象に、SFだけだといささか範囲が狭すぎるのでもう少し広くファンタジー的な要素を含んでいるか、少なくとも現代の日常生活では起こり得ないことが書かれているかというのを、Amazonの商品ページ及び「(作品タイトル)」+「あらすじ」でGoogle検索した結果を参考に、私が至極主観的に判断しました。つまり全作をきちんと読んだ訳では無いので、大いに誤っている可能性があることをご了承下さい。私がいい加減に調べた感じでファンタジーっぽくないということは、つまり大して重要な要素となってはいないということでもあるでしょう。
作中の出来事が現実に有り得ることであってもその描き方が甚だ日常的でない場合は、悩んだ末、一応カウントすることにしました。自分でも甚だの基準が説明し辛いのですが、現実からの浮遊感をポイントにしてみました。単なる時代劇は除きます。

 受賞回(年) 作者 タイトル SFファンタジー要素
117(1997E) 目取真俊 水滴
118(1997L) なし なし
119(1998E) 花村萬月 ゲルマニウムの夜 ×
119(1998E) 藤沢周 ブエノスアイレス午前零時
120(1998L) 平野啓一郎 日蝕
121(1999E) なし
122(1999L) 玄月 蔭の棲みか ×
122(1999L) 藤野千夜 夏の約束 ×
123(2000E) 町田康 きれぎれ
123(2000E) 松浦寿輝 花腐し ×
124(2000L) 青来有一 聖水 ×
124(2000L) 堀江敏幸 熊の敷石 ×
125(2001E) 玄侑宗久 中陰の花
126(2001L) 長嶋有 猛スピードで母は ×
127(2002E) 吉田修一 パーク・ライフ ×
128(2002L) 大道珠貴 しょっぱいドライブ ×
129(2003E) 吉村萬壱 ハリガネムシ ×
130(2003L) 金原ひとみ 蛇にピアス ×
130(2003L) 綿矢りさ 蹴りたい背中 ×
131(2004E) モブ・ノリオ介護入門
132(2004L) 阿部和重 グランド・フィナーレ ×
133(2005E) 中村文則 土の中の子供 ×
134(2005L) 絲山秋子 沖で待つ ×
135(2006E) 伊藤たかみ 八月の路上に捨てる ×
136(2006L) 青山七恵 ひとり日和 ×
137(2007E) 諏訪哲史 アサッテの人
138(2007L) 川上未映子 乳と卵 ×
139(2008E) 楊逸 時が滲む朝 ×
140(2008L) 津村記久子 ポトスライムの舟 ×
141(2009E) 磯崎憲一郎 終の住処 ×
142(2009L) なし
143(2010E) 赤染晶子 乙女の密告 ×
144(2010L) 朝吹真理子 きことわ
144(2010L) 西村賢太 苦役列車 ×
145(2011E) なし
146(2011L) 円城塔 道化師の蝶
146(2011L) 田中慎弥 共喰い ×
147(2012E) 鹿島田真希 冥土めぐり ×
148(2012L) 黒田夏子 abさんご


結構基準は緩くしたつもりですが、3割弱というところですか。実際に調べてみた感想では、ど真ん中の超常現象を扱う話は滅多に無くて、やはり一般庶民が主役の家族物語が鉄板の様です。純文学(正確には芥川賞)にSF時代は未だ当来する気配無し。

このブログが劇団ブログである以上、戯曲賞も一応押さえておかないといけないんだろうかと岸田國士戯曲賞もチェックしてみました。こちらは芥川賞作品よりも自分で観たり読んだりした数は多いものの、知らない作品はGoogle検索したところで情報が無く、判定のしようがなかったのでデータは挙げません。気になる人は白水社のページをどうぞ。
見てみた感じでは、芥川賞と似た傾向は無くもないものの、ファンタジー要素に対する垣根はずっと低いです。SF作品が岸田賞を獲ったところでニュースにもならないというか(知名度の違いは置いといて)。そもそも岸田賞は純文学であることを謳ってないので当然と言えば当然ですね。直木賞と比べるとおもしろいかもしれませんが、いい加減気力が尽きたので止めておきます。
一つ思ったのは、SF小説を書くには作家が色々と勉強しなければなりませんが、SF芝居を作るには脚本家が勉強した上に舞台・衣装に莫大な費用がかかる場合もあるということです。それでもSF芝居やファンタジー芝居がたくさん生まれているのは何だか不思議な気もします。世の脚本家は『超常現象を出した方が観客の受けが良い』と思っているということですか?観客以前に役者の願望に応えているとか?つまり芝居を作る人達は漫画やアニメが好きだから?映画でやるよりはまだコストが低く済むから?
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